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韓国を深く知る大谷亮平の言葉には、リアルが詰まっている

韓国を深く知る大谷亮平の言葉には、リアルが詰まっている 韓国を深く知る大谷亮平の言葉には、リアルが詰まっている

 チョンソンです。まずは以前こちらでも取り上げた、金竜介弁護士が在日コリアンであることを理由に、東京弁護士会に不当な懲戒請求をおこなった人物への訴訟についてお知らせします。(前回のブログ記事は→こちら

 1023日、東京地裁は金弁護士の主張を認め、懲戒請求を送った男性に33万円の支払いを求める判決を言い渡しました。被告の男性は出廷せず、答弁書も提出していなかったことから審理は3カ月で終了しました。しかし訴えた相手は1人ではなく、他の被告は答弁書を提出していることから、裁判は今後も続く予定です。とはいえ金弁護士に、ひとまずお疲れ様でしたと伝えたいと思います。

 

 

 で、今回のテーマはやっぱり以前取り上げた、大谷亮平さんについてです。(前回ブログ記事は→こちら

2003年に出演したダンキンドーナツのCMが話題になり(https://www.youtube.com/watch?v=6w5bVYuUfTk )、その後11年間韓国で仕事をしてきた大谷さんのエッセイ『日本人俳優』(TAC出版)が、9月に発売されました。

 

 大谷さんはバレーボール選手を目指していたものの、限界を感じて違う道を探していた時に、モデルの仕事を始めました。その後韓国側からオファーがあったことでダンキンドーナツのオーディションを受け、なんの予備知識もないまま拠点を韓国に移すことに。当然言葉は全くできない。そこで語学学校に6か月間通い、モデルをやるかたわらドラマに出演するチャンスを狙っていたそうです。

 

 2006年、恋愛バラエティの『ルームメイト』(MBC)に日本人役で出演したのがドラマデビュー作ですが、「シットコム」と呼ばれる恋愛シチュエーションドラマは、若手俳優の登竜門だったことから韓国でも一躍知られるように。その後はドラマ『家に帰る道』(KBS)や映画『神弓』『バトルオーシャン 海上決戦』などに出演するのですが、大谷さんは「共演した俳優たちは、日本人に温かい視線を送っていた」と書いています。

 

 たとえば韓国で社会問題になっている、高齢者の売春を描いた映画『バッカス・レディ』主演のユン・ヨジョンといえば、相当厳しいと言われている女優さんなのだとか。しかし『家に帰る道』で共演した際、大谷さんは彼女を何時間も待たせてしまった。だけど遅れたことを謝ると、「大丈夫よ」と全く怒っていなかったそう。それどころか「私も日本は大好きで、銀座にもよく行くのよ」など、ずっとねぎらいの言葉を掛けてくれたとあります。

また『バトル・オーシャン』で共演した超大御所のチェ・ミンシクも、大谷さんによれば「めちゃくちゃフレンドリーな、かわいいオジさん」。事務所に金銭的に騙されたことはあるにせよ、苦労話を聞かれても何も出てこないほど、韓国での生活は仕事もプライベートも楽しかったとあります。

出展:amazon.co.jp

 

 

 今年公開された『焼肉ドラゴン』という映画では、長谷川という役を演じていました。終戦後の在日家庭を舞台に、3姉妹がそれぞれ違う道を歩んでいくストーリーですが、三女と結婚する長谷川は韓国語を必要としない役でした。でも撮影中は父親役のキム・サンホなど韓国人俳優と、日本人俳優の橋渡し的な存在だったそうです。その上で大谷さんは、こう書いています。

 

 高度成長期のこの時代の日本ではおそらく、日本人が在日韓国人の人に結婚を申し込んで、その家庭に入ることは世間的にもかなり厳しいものがあったと思うんですよ。その役を実際に韓国文化の中で生きて、いいところも悪いところも知っている僕が演じるからこそ意味があるんじゃないかと。そこに嘘がないっていうか、ずっと日本にいる俳優さんよりももしかしたら説得力が出るんじゃないかとマネージャーは言ってました。見ている人はそこまで考えないとは思いますけど、自分にとっては意味ある作品になりましたね。

 

 そんな大谷さんのスタンスは「任せて委ねること」で、「役者ならこうあるべき」というよりは、作り手にうまく操ってももらいながら、プレーヤーとして演じることにやりがいを感じているそうです。しかし任せると言いつつも、こんな主張もしています。

 

だけど、たとえばバレーボールのことや韓国のことを僕よりわかっているって口ぶりで言ってきたら、「おい、違うぞ」ってツッコミますよ。そこはね、経験値の低い人間が間違ったことを言ったら黙っていられないですから()

 

 こう言い切れるのはひとえに10年以上韓国で暮らし、仕事をしてきた実感があるからだと思います。

 ネットの世界ではどこの誰が発信しているかもわからない、韓国に対するネガティブな記事も多いけれど、それを書いている人間が果たして韓国の実情をどれだけ知っているのか。根拠レスな100のネット記事より、大谷さんの言葉のほうがよほどリアルなのではないでしょうか? 

 

 しかし韓国で売り出す時には「(韓国系アメリカ人の)ダニエル・ヘニーのように」と言われ、日本に戻ってきたら「第二のディーン・フジオカ」と言われていたとは……。

『春のワルツ』や『私の名前はキム・サムスン』などに出演していたダニエル・ヘニーは、現在はアメリカで人気ドラマ『クリミナル・マインド』などに出演しています。

だから大谷さんも日本と韓国だけではなく、他の国でも活躍して欲しい!そして同胞の皆さんも同様に、日本と韓国にこだわることなく、世界に羽ばたいて欲しいなあとチョンソンは思うのでした。ではまたアンニョン。

 

 

(チョンソン)