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5月18日は、日韓ともに忘れられない日に

5月18日は、日韓ともに忘れられない日に 5月18日は、日韓ともに忘れられない日に

 アンニョンハセヨ。チョンソンです。

 5月18日といえば光州事件が起きた日だけど、日本では今年、出入国管理法改正案の成立が、断念された日になりました。

 

 この法案は当初から問題点が多く、改正ではなく改悪案だと言われていました。それはなぜかというと、帰国できない事情を持っている外国人が強制送還を拒んだら、刑事罰が課せられてしまうことと、難民申請が3回目の人(2回拒まれて、再々チャレンジしている人)を、手続きの途中で送り返すことができてしまう内容になっていたから。難民申請中の人を送り返してはいけないという国際法上の原則「ノン・ルフールマン原則」に反している上に、自分の国に戻ったら身の危険がある人を送り返してしまうのは、どう考えても人道に反する行為です。だからたくさんの人が国会前で、連日にわたり抗議をしていました。いわば民意が反映された日と言えますね。

連日たくさんの人が、詰めかけていました。

 

 チョンソンもごく数回ですが、この抗議に参加しました。だってこれは特別永住権を持つ在日コリアンのオールドカマーにも、留学や永住権を持って滞在しているニューカマーにも、決して無関係な話ではないから。

 

 高千穂大学の五野井郁夫教授によると、戦前の日本の入国管理は警視庁や特別高等警察・いわゆる特高と同じく内務省が所轄していて、入国管理は警察行政の一環だったそうです。この組織は敗戦に伴って一度は解体されたものの、属していたメンバーたちが再雇用され、現在に続いています。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64055 より)

 

 朝鮮半島出身者や共産主義者を取り締まり、時には差別をしたりひどい拷問をしていたDNAがそのまま、引き継がれていると言えるのです。朝鮮戦争から命からがら逃げ出してきた人や、1952年のサンフランシスコ講和条約で日本の国籍を奪われた朝鮮半島出身者を収容していた大村収容所が現在、入管の施設である「大村入国管理センター」になっていることからも、そのバックグラウンドがわかるはず。歴史は決して、終わっていないのです。

 

 今の日本は戦時中ではなく、色々な国の人たちとともに生きる時代になっています。1人1人違った事情でやってきた人たちを保護するのではなく、取り締まる姿勢から入るというのは、あまりにも時代錯誤だし人倫にもとるとチョンソンは思います。だって私自身も、かつて日本に移民してきた家族の子孫だから。自分はよくて誰かはダメというのは、理屈として成立しませんよね。

 

 日本の難民申請認定率はわずか0.4%と、諸外国と比べてとても低い数字になっています。ちなみに韓国はこのところ0.8~1.0%と、ドイツやフランス、アメリカなどと比較すると格段に低いけれど、それでも日本よりは高い。じゃあ日本だけが外国人に冷酷かというと、どうもそうでもないようで……。

 

 以前紹介した2003年のオムニバス映画、『もしあなたなら~6つの視線』を先日見たのですが、実話を元にしたパク・チャヌク監督の『N.E.P.A.L. 平和と愛は終わらない』という作品がまさに、韓国における外国人労働者をテーマにした話でした。

 

 1990年代のソウルで働くネパール人のチャンドラさんはある日、ラーメンを食べに行きました。その場で財布を持っていないことに気づくと、食堂の主人によって無銭飲食で訴えられてしまいます。彼女の顔つきが韓国人に似ていたこと、韓国語がうまく話せないことから、警察はチャンドラさんを精神障がい者だと思い込み、精神病院に収容してしまいます。6年半近く拘束された末に彼女がネパール人だと気付いた人によって、ようやく故郷に戻ることができるのですが、その間ずっと、彼女は周囲の無知と偏見、無関心に晒され続けます。

 若き日のオ・ダルスがチャンドラさんを病院送りにする警察官を演じていて、当時を振り返るシーンがあるのですが、これがもう他人事の極みとしか言いようがない。でも彼だけではなく、関わった人たちの誰もがチャンドラさんを知ろうとせず、自分の思い込みで彼女の人生を軽く扱っています。

 

 どうして外国人労働者がいるのかといえば、それは受入国自体が、彼ら彼女らを必要としているから。労働力として使うだけ使うけれど、仲間として扱わないというのは、どこから見てもおかしい。そんなことを知る第一歩として、この作品は非常に秀逸(28分と短いし)だと思いました。

 

 毎日毎日政治や誰かのことを考え続けるのは大変だけど、映画や文学に触れた日だったり、メモリアルデーぐらいは、ちょっと立ち止まって考えてもいいかも。5月18日は、まさにそんな日になったのではないかと思います。ということで今月はここまで。ではまたアンニョン。

名古屋入管収容中に亡くなった、スリランカ人のラトナヤケ・リャナゲ・ウィシュマ・サンダマリさんの追悼もされていました。

 

※入管法を知るためには、『Open the Gate for All』というサイトのQ&Aが、

https://www.openthegateforall.org/2021/01/qa.html

 

難民については、難民支援協会のホームページがオススメです。

https://www.refugee.or.jp/