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在日以外の在外同胞のこと、どれだけ知ってますか?

在日以外の在外同胞のこと、どれだけ知ってますか? 在日以外の在外同胞のこと、どれだけ知ってますか?

 皆さんは映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、ご覧になりましたか? 

ソウル発プサン行きのKTX京釜線の中で、人々が次々にゾンビになるというパニックムービーでしたね。この作品の中で主演のコン・ユと並んでも遜色のない演技をしていたのが、マ・ドンソクでした。


 マ・ドンソクは在米に移民した同胞で、アスリートのパーソナルトレーナーなどを経て俳優になりました。コン・ユのトレーナーもつとめていたこともある、「頼れるアニキ」といったところのガチムチ体形が特徴です。しかしその男くさ~い感じがなぜかバカウケで、「マブリー」(マ+ラブリー)なる造語も生まれたほど。2016年にはETUDE HOUSEのCMにも登場しています。

ETUDE HOUSEのCM

 この時CMと同じエプロンや、彼の顔をプリントしたパフなどがノベルティとして作られたのだとか(ちょっと欲しかった)。

 これまでもキム・ギドク監督の『殺されたミンジュ』などで主演をつとめていますが、どちらかといえばバイプレーヤーとしての役柄が多かった。そんなマ・ドンソクの主演作『犯罪都市』が、このGWに公開されます。

 映画の舞台はソウルの加里峰洞(カリボンドン)界隈。ご存知かもしれませんが、このあたりは中国出身の朝鮮族が多く暮らしています。

チョンソンも韓国に短期滞在していた頃、1度だけ訪ねたことがあります。昼間だったので休憩中の店が多く、羊串食べたいなあと思いながら街歩きして終わりましたっけ。

 その加里峰洞では21世紀に入った頃から、朝鮮族による事件が目立ち始めるようになりました。最初は暴力団同士の抗争だったものの、街の人を巻き込んでの犯罪が横行するようになったため、2004年に地域を管轄する衿川警察の刑事らは、一晩で暴力団14人を検挙しました。

映画はこの事件をベースに、純粋な創作として作られました。


 マブリーが演じるマ・ソクトは、コワモテだけど子供には優しい強力班刑事。「強力班」とは凶悪事件担当のことで、ソクトも当然(?)暴漢にナイフで刺されたり、殴り殴られたりする日々を送っています。

(C)2017 KIWI MEDIA GROUP & VANTAGE E&M. ALL RIGHTS RESERVED

街では暴力団の毒蛇組とイス組(椅子かと思いきや、ボスの名前)が常に対立しているも、そこはお互い知った仲ということで、ギリギリのバランスが保たれています。

そんな折、ハルビンから『黒竜組』の3人が密入国してきて、金で人々を支配しようと残虐の限りを尽くします。このままでは何もかもが破壊されてしまう、ということで、衿川警察の強力班が立ち上がるのですが……。

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 予想を裏切らないマ・ドンソクの暴れっぷりを見て、スカっとした人が多かったのでしょう。

監督のカン・ユンソン氏はこれがデビュー作で、R指定作品では韓国で歴代3位となる、680万人の動員があったそうです。

ちなみに1位は『インサイダーズ/内部者たち』で、2位は『チング』というのがちょっと意外。

 でも個人的にはこの作品に限らず『コインロッカーの女』や『新しき世界』などでも、朝鮮族=暴力的で犯罪を起こしがちならず者、という描かれ方をしていることに違和感がありました。

「同胞だけど私たち(韓国ロコ)とは違う」というニュアンスが伝わってくるからです。

しかし今作の中でソクトは、加里峰洞に暮らす人たちにある言葉を投げかけます。それはバックグラウンドに違いはあるものの、温かく受け入れているということが伝わるものでした。

 黒竜組ボスのチャン・チェン役には、『プンサンケ』のユン・ゲサンが扮しています。2015年の映画『国選弁護人ユン・ジンウォン』では、国家権力に立ち向かう熱き弁護士役で見る人のハートを打ったのに、今回は粗野で憎々しくて見てるこっちはハートがざわつくばかり!

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 全体的にバイオレンスシーンが多めですが、ソウルのある一面を垣間見られる貴重なエンタメ作品だと思います。そしてしつこいようですが朝鮮族の集住地域=犯罪都市ということではないので、在外同胞を色眼鏡で見るのはやめましょう。

とはいえあくまで創作として、充分に楽しめる作品だと思います。付き合い始めた2人のデートとかには、向かないと思いますけどね(笑)。

ということでちょっと気が早いですが、良いGWをお過ごしください。

アンニョン!

 

(チョンソン)

『犯罪都市』4月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか公開
公式ホームページ→http://www.finefilms.co.jp/outlaws/