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『エクストリーム・ジョブ』(2019)

『エクストリーム・ジョブ』(2019) 『エクストリーム・ジョブ』(2019)

韓国映画には大ヒットの基準があります。劇場での観客数が1000万人を超えることです。韓国の人口は約5000万人ですので人に人が劇場で映画を見ると大ヒットした映画となります。

そして2019年に観客数1600万人を記録し韓国国内上映映画歴代2位に躍り出た映画が『エクストリーム・ジョブ』というコメディ映画です。

 

簡単映画のあらすです

 

なかなか結果が出せず解散の危機を迎えている麻薬犯罪担当の刑事チーム5人組。そんなピンチの状況で大物麻薬組織を取り締まるチャンスが5人に訪れます。犯罪の証拠を掴むため麻薬組織の事務所の向かいにあるフライドチキン屋を買収し監視を始めます。しかし、なかなか証拠掴めない代わりになぜかチキン屋が繁盛してしまい…

刑事をしている時よりも儲かるチキン屋に5人心は揺れてしまいます。

果たして刑事チーム5人組は麻薬組織を取り締まれるのか?

 

といった内容す。

 

フライドチキンといえば、今や有名な韓国フードの一つですよね。ちなみにチキン屋さんというのはサラリーマンが定年退職後や脱サラ後に始める定番の職業の一つです。

そんな韓国人の身近な存在であるチキン屋さんという設定をうまく利用しそれをいにつなげたことがヒットした要因の一つだと思います。

(余談ですがハリウッドリメイクも既に決まっているそうです。おそらくこの職業設定の部分がアメリカナイズされるのではないでしょうか?どんな職業になるか楽しみですね。)

 

この映画が大ヒットしたということは韓国コメディ映画の復活も意味しています。2000年代はラブコメや、ロマンス映画の盛期の時代でした。『奇的な彼女』や、『私の頭の中の消しゴム』など映画がヒットした時代です。

ですが2010年代に入るとスリラーやサスペンス、クライムアクションなどの暗い題材の映画が勢いを増し主流に変わり『哭声 コクソン』、『インサイダーズ/内部者たち』などの映画がヒットしました

映画はヒットすると同じジャンルの映画がまた作られる傾向にあります。それは映画に投資する人が一度ヒットしたジャンルはまた売れるだろうと判断し、そのような映画に投資しがちだからです。そのため、コメディというジャンルは一時冬の時代を迎えていました。そんな状況でこの画がこんなにも大ヒットしたこと韓国コメディ映画の復活を意味するわけです。

 

映画がヒットする要因は単純に映画の面白さだけで決まるものはありません。宣伝や、集客方法による影響もありますが、現実世界での動向にも大きく左右されますコメディ映画ヒットした要因の一つに韓国社会が笑いを必要としていたというともあります

セウォル号沈没事故崔順実ゲート事件など、韓国社会では映画よりもショッキングな出来事が次々と起きました事実は小説よりも奇なり現実の衝撃がフィクションを超えてしまったのです。韓国社会は憂鬱に包まれました。そんな韓国社会に必要だったのは暗いフィクションではなく明るいフィクションだったのでしょう。

 

ちなみに『エクストリーム・ジョブ』の監督、・ビョンホン監督は韓流四天王の俳優イ・ビョンホンと名前は一緒ですが別人です。余談ですが、韓流四天王という基準は日本のマスコミが独自に定めたものなので韓国国内では通用しません。

 

最後に1000万映画という韓国独自の概念についてお話ししたいと思います。1000万人という基準は、2000年代に増えたシネマコンプレックス観客数の集計網が安定したことがきっかけに始まります。ちなみに、このように観客数で映画の興行の良し悪しを判断する国は韓国くらいです。日本やアメリカなど、他国では興行収入で判断しています。韓国がこのように観客数で判断するのには韓国ならでは事情があるからです。

一般的に映画の収入は劇場での収入以外にも、版権や、DVD、ブルーレイ、レンタルビデオ店などの二次収益があります。しかし韓国では日本のようにレンタルビデオ店があまり発展しませんでした。何故ならインターネットなどを使いあの手この手を使って映画を見る人が多いからです。そのため韓国映画は二次収益の割合が低く、劇場での収入がほぼ全てを占めているため、劇場観客数で興行の良し悪しを判断する文化が生まれたのです。

 

ですが、このような映画の収益システムに関してはオンライン配信サービスの発展により少しずつ変わりつつあります。韓国でもネットフリックスや、W A T C H Aという韓国国内の配信サービス(W A T C H Aは日本でもサービスを開始する予定だそうです。おそらく韓国映画が多めに配信されるのではないでしょうか?)人気を集めています。更にコロナにより劇場に訪れる人々が減ったことにより劇的に変化しました。劇場での公開を諦め、オンラインでの公開に切り替えた映画(ネットフリックスで公開された『の時間』もあります。劇場はいずれなくなるのではないかという予測をする人も増えています。

変わりつつある状況ですが、個人的にはいつまでも劇場で映画を見る経験は無くならないで欲しいと思っています。

 

それでは今回はここまで、また次回お楽しみに。

ジニュン