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ハナ 奇跡の46日間(2012)

ハナ 奇跡の46日間(2012) ハナ 奇跡の46日間(2012)

アンニョンハセヨ!

いろいろとありましたが東京オリンピックは結局開催されましたね。

ということで今回はスポーツを題材にした映画を紹介したいと思います。

 “ハナ 奇跡の46日間”という映画です! 

卓球映画ではありますが、スポーツがメインというよりは南北関係がメインの映画です!

 

“ハナ“というのは韓国語で一つという意味です。韓国語のタイトルを使っているということは原題をそのまま邦題にしたのかなと思いがちですがそれは違います。韓国語の原題は“コリア”、なんと英語なのです。1991年の日本で開催された世界卓球選手権大会で、史上初の韓国と北朝鮮の南北統一チームを題材にした映画なのですが、この南北統一チームの名前が“コリア”なのです。なぜ英語なのか。後ほど説明します!

ちなみに実際の出来事をもとに作られた映画ですが、史実通りに作られたわけではなくしっかりと脚色されていますよ。

 

あらすじですが…

史上初の南北統一チームが結成され、世界卓球選手権に挑むチームコリア。しかしそれぞれの価値観の違いにより衝突しながらも、競いあったり、恋をしたり、酒を飲みあったりなどして、バラバラだったチームが一つになっていくお話です。

 

役者陣は豪華です。主演にはハ・ジウォン、ペ・ドゥナ、そして今年のアカデミー賞のノミネート作品にもなり、以前このブログでも紹介した映画“ミナリ”に登場したハン・イェリが助演を務めています。今ではすっかり演技の素晴らしい女優だと認知されているハン・イェリですが、この映画で見せる若い頃の彼女の演技からはすでに並々ならぬ才能の片鱗を感じることが出来ます。

 

南北統一チームといった重そうなテーマを扱っていますが、全体的な雰囲気は軽快です。南北問題を扱った映画は色々とありますが、その中でも気軽に見ることができる映画の一つだと思います。イケメン北朝鮮選手への恋や、監視の目を盗み繰り広げる飲み会など、青春映画のような雰囲気でストーリーは進んでいきます。分断されようが、政治体制が違おうが、人間は結局みな同じなんだというメッセージのような気がします。涙腺を無理やり刺激するような場面もあるので涙もろい人はホロリと泣いてしまうことでしょう。ちなみにこのブログを書くために最近この映画の2回目の観賞をしたのですが、私は涙が出ませんでした。数年前に初めて見た時は泣いたはずなのに、私の涙腺は年々麻痺していくようです。

 

そしてコリアというタイトルの理由ですが、前回のブログにも書いたように韓国では北朝鮮のことを북한(北韓*プッカン)、北朝鮮は韓国のことを남조선(南朝鮮*ナムチョソン)と呼び合っています。つまり韓国という単語と朝鮮という単語はどちらかに偏ってしまうため使えないのです。そこで中立的な名前が英語の“コリア”なのです。政治主導で結ばれた南北合同チームのため名称には非常に敏感なのでしょう。

そして最近では2018年の平昌オリンピックでも女子アイスホッケー南北合同チーム“コリア“がありました。このチームも政治主導で結成されたチームであったため、実際に競技をする選手達は困惑したことだと思います。統一チームになったために試合に出られなくなった選手もいたはずです。様々な意見があったでしょうが、統一チームを見て感動を覚えたのもまた事実です。いつか政治主導ではない流れで結成された統一チームが登場してくれたらなと思います。

 

ちなみに海外で ”I’m from Korea.”と言うと“North? South?” (北なの?南なの?)と聞かれるのは結構あるあるです。そして人によっては「当たり前に南に決まってるだろ」と不快に思う方もいます。ですが私はそれを偏見だと思っています。確かに北朝鮮の人より韓国の人の方が海外に自由に行ける機会は多いことでしょう。しかしだからといって北朝鮮の人が海外にはいないということにはなりません。それに東アジアの人間がどれだけ、世界の半島事情に詳しいでしょうか。バルカン半島、イベリア半島、アラビア半島、これらの半島にどんな国があるのかすぐに分かる方はどれだけいるでしょうか。海外の方が朝鮮半島のことをあまり詳しく知らなくてもそれはお互い様なのです。興味を持たない限り、世の中身の回りのこと以外は分からないことばかりなのです。

長くなってしまいましたが、つまり何が言いたかったのかというと!

コリアという単語には“北”も“南”もないのです。

よくよく考えたら在日においても、北も南も関係なく表記する場合は在日コリアンって言いますしね。

 

そして実際に統一に関する意識や関心ですが、ここからは私の感覚の話になりますので個人的な意見として読んでいただけたらと思います。

日本に住む在日コリアンで統一問題に興味関心がある方なら、ほとんどの方が統一に賛成だと思います。それは日本の在日コリアン社会の中では南北の分断により、同じ在日同士でも知人同士、友達同士、親戚同士の分断が実在しているからです。そして北朝鮮への帰国事業により北朝鮮に家族、親戚の方が渡り、会いたくても会えない方達がいるのも事実です。ですから南北の統一を切に思う方は多いはずです。

韓国でも統一に賛成する方が多いことは確かです。しかし反対意見があるのも事実です。2019年に10〜60代の韓国の方を対象に行われたNownsurveyのアンケート調査によると、約70パーセントの方が統一に賛成し、約30%の方が統一に反対という結果でした。反対に関する一番大きな理由は経済的負担が大きくなるという心配です。そして韓国保険社会研究院が発表した“社会統合の実態診断及び対応方案研究”という報告書によると、“統一と経済問題のうち一つを選ばなくてはいけないとしたら経済の方を選ぶ”、という問いに対し、77%の方が同意すると答えました。

在日コリアンの社会において、南北統一はほぼメリットしかないことでしょう。そして経済など生活への影響は韓国ほど大きくないはずです。しかしもし南北が統一した場合、韓国社会はメリット、デメリット全てを背追い込まないといけないため、非常に大きな社会の変化を経験しなくてはいけないのです。民族統一といった綺麗事だけでは片付けられない南北統一問題の複雑さがそこにはあるのです。

私が初めて韓国に来た時は手放しで統一に賛成の立場でした。難しいことは何も考えていなかったからです。しかし韓国に住み、ここに住む方々との交流を通じて、手放しに統一に賛成と言える簡単な問題でもないことに気付いたのです。

なのでとりあえず今は統一するにせよ、このまま別の国として進むにせよ、人々が自由に行き来でき、離れ離れになった人々が会いにいくことができ、釜山からヨーロッパまでユーラシアを陸続きで旅ができる、南北がそんな自由のある関係になってくれたらと思っています。

 

毎回話が脱線してしまい、映画とは関係ない話の方が長くなってしまいますが、それはご愛敬、ということで。

今回はここまでです!

それではまた次回!

 

ジニュン