「まだ5年」ではなく「もう5年」なのに、差別は今も続く

2021年06月23日

アンニョンハセヨ、チョンソンです。
突然ですが2016年6月に、何があったか覚えてますか? まあ、覚えてるわけないですよね……。5年前の6月3日に、ヘイトスピーチ解消法が施行されました。

 2010年頃から東京の新大久保をはじめ、全国のあちこちでヘイトデモが起きていたことから、日本で初めての反人種差別法を制定しようという動きが生まれました。日本は1995年に人種差別撤廃条約に加入していながら、人種差別撤廃条約の該当規定を留保しているため、ヘイトデモが野放しにされている状況が続いたからです。法律でヘイトスピーチを規制することを目指す在日コリアンと日本人が声をあげ、参院法務委員会での全会一致での可決を経て、2016年5月24日に衆議院本会議で可決されました。ただこの法律は罰則のない理念法だったので、「それでは足りないのではないか」という声もあがりました。しかし新大久保や大阪の鶴橋など、在日コリアン集住地域でのヘイトデモは落ち着き、罰則付きの条例を作った神奈川県川崎市をはじめ、地方自治体が反ヘイトに取り組む姿勢を見せるようになったことは、大きな変化だと思います。

 施行から5年を迎えるのを前にした5月26日、当時の参院法務委員会に所属していた与野党の議員ら4人が、参議員議員会館で記者会見を開いたので、チョンソンもお邪魔してきました。

右から矢倉かつお議員、西田昌司議員、有田芳生議員、仁比聡平前議員。

 まず立憲民主党の有田芳生議員の挨拶に始まり、法務委員会理事をしていた公明党の矢倉かつお議員がスピーチ。川崎市で反ヘイト活動を続ける在日コリアンの崔江以子さんと同年代で、彼女が命の危機を感じていたことを機に法案制定に関わったこと、そして「(罰則のない)理念法にしたのは、ヘイトスピーチを許さないということを弱く思ってるということではない。権力が縛ることで問題が解決する話なのか、国民を巻き込んだ運動にしていかないといけない。その戦いの第一歩の理念法と、位置付けないとならない」などと語りました。
 遅れて駆け付けた自民党の西田昌司議員も、「理念法として国民全体にヘイトは恥ずかしいことだと認識してもらう。単に法律をつくるのではなく、立法の趣旨をいかに正しく国民に伝えて、意味を説明することが議会の意味」と言い、ヘイトスピーチをなくすための第一歩として、この理念法があることを説明していました。

 一方、現在は捲土重来を期している日本共産党の仁比聡平前議員は、今も続くヘイト街宣やネット上でのヘイトスピーチを例に挙げ、「(理念法であることを根拠に)個別の事案についてお答えできないという姿勢で政府が望むなら及び腰だし、ヘイトを許容することと同じだ。ヘイト言論への非難を裁判任せにせず、政治家が発信する責任は極めて重い」と、ヘイトスピーチ根絶についての、政治家の責任を問いました。

「戦後、本当に大変な努力を地域社会でしてきたことをヘイトデモが打ち壊してしまう。その中でどれだけの恐怖に当事者は晒されてきたか。尊厳そのものを否定する、人であることを否定するものは政治的な立場に関係なく、絶対に許してはいけない。それが魂であると思う。この魂が社会に本当に活かされていくかどうかが、問われている5年間だったと思う。課題を言わせてもらうと今の政治家、なかんずく総理や大臣の発信に(魂が)活かされていないのではないか」(仁比前議員)

  6月1日に上川陽子法務大臣も、記者会見の場で「残念ながら、国の内外を問わず、人種や民族等を理由とする不当な差別的言動がいまだ後を絶ちません」 と言っていましたが、
仁比前議員の指摘通り、川崎市ではヘイト街宣が繰り返されているし、ネット上でのヘイトスピーチもおさまっていません。法律を作って5年で社会が変わる方がおかしいと思うかもしれないけれど、ヘイトスピーチは魂の殺人で、決して許されるものではありません。だから「まだ5年」ではなく「もう5年なのに、今でも連日被害者が生まれている」現実から目をそらさず意識しなおすことが、誰にとっても必要なのかもと思いました。

 チョンソンも雑事に追われる日々ではありますが、ヘイトスピーチがどうすればなくなるかについて、改めて考えてみることにします。そんな感じで、今月はこれにてアンニョン。

   

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