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ミョヌリはつらいよ

ミョヌリはつらいよ ミョヌリはつらいよ

アンニョンハセヨ、インジュです。

結婚してそろそろ1年半になり、ミョヌリ(嫁)業も板についてきました。
食事の後は当然のように後片付けをする私と、当然のようにビールを飲みながらテレビを見る夫の姿に、「はて?」と我に返ることもありますが、でも仕事のため家でごはんを食べられるのは週に数回なので今のところはさほど気にならず。

なぜそう思うかと言えば、私の方が今、負担の少ない仕事をしているからなんですよね。
今の内勤の仕事でなかったら、余裕がなくてこんなふうにすべての家事を引き受けることはなかったと思います。
専業主婦だから、パートだから、という引け目って、これまでずっとミョヌリたちが背負わされてきたものではないかと思いモヤモヤしたり。

韓国では、そんなミョヌリたちが置かれている状況について、様々な形で訴えが起きています。

まずは、昨年ベストセラーになった小説「82年生まれ キム・ジヨン(チョ・ナンジュ著)」。
韓国の平凡な家庭で生まれ育ち、結婚して退職し、3歳年上の夫と娘と暮らす30代半ばの女性の物語です。
(そもそも、キム・ジヨンという名前自体が同姓同名がごまんといる超平凡な名前です)

韓国女性の実に大多数が置かれている状況を描いたこの本は、一部で「フェミニズム本」と受け取られたようです。人気グループ「レッドベルベッド」のリーダー・アイリーンが「最近読んだ本」として挙げただけで、男性ファンからバッシングを受けるという理解しがたい事態も起きました。

「この小説で社会的雰囲気が変わった」と語るのは、ス・シンジさん。

「韓日新婚ブログ」初回(http://www.seinenkai.org/a_blog/%E6%AD%A3%E6%9C%88%E3%81%A8%E3%83%9F%E3%83%A7%E3%83%8C%E3%83%AA)で紹介したウェブ漫画「ミョヌラギ」の作家です。
おかげで、ミョヌリに待ち受けるジレンマを描いたこの作品も大ヒットに結び付いたと、ハンギョレ新聞とのインタビュー(4月24日付)で言っています。
連載は1月で終わりましたが、漫画は単行本になり、関連グッズも発売されるなどその後も話題となりました。

そして今年1月に公開されたドキュメンタリー映画「B級ミョヌリ」や、2月発売のエッセイ本「ミョヌリ辞表(ヨンジュ著)」などなど、嫁への注目は続いています。

こうした一連の流れから、韓国のTV局MBCは「不思議の国のミョヌリ」のドキュメンタリー番組を放送開始。韓国の嫁たちの日常を観察し、強要される犠牲に疑問を投げかける内容です。

初回は、お笑いタレントのキム・ジェウン氏の妻パク・セミさん(元CA)の話。
臨月なのにもかかわらず、正月に夫の実家でこき使われ続けている中で、姑が言うことには「(嫁を取り巻く)世の中だいぶ良くなったものね」。
そして子宮破裂の危険性があるため帝王切開をすすめられていると言えば、舅は「自然分娩じゃないと子供のIQが低くなる」と謎の理由で猛反対。
夫は「(自然分娩を)1~2時間試してみて、だめだったら帝王切開にするのはどう?」と口にして、妻とお茶の間の非難を一気に浴びました。

その後も他の家族たちが取り上げられ、韓国中に問題提起をしています。
よく家族が放送をOKしたなと思うほど、だいたいみんなひどいのですが(笑)

韓国語で夫は「남편(ナムピョン)」ですが、それを「’남’ 의 ‘편’(他人の方=味方)」なんて揶揄されるくらいです。

しかしこうした問題提起の成果か、最近の夫たちは変わりつつもあるようです。

知人の一家が先日、友人ら6家族で一泊でペンション旅行に行ったところ、なんと、買い出しから料理、掃除、子守りまで全部男性陣が取り仕切り、女性は一切動かないで良い集まりだったそうです。
FBの写真で、その充実した様子が伝わってきました。奥さんいわく「韓国の男性も最近の世代はみな素晴らしい!」とのこと。

日本と異なり、#METOO運動もおおいに盛り上がっていた韓国。
今、女性をとりまく環境は過渡期なのかもしれません。

 

アン・インジュ

1984年ソウル生まれ。1990年に来日、神奈川県で育つ。延世大学校政治外交学科卒。日本の全国紙に勤務中。お酒が弱くなったことが悩み。