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第十四期

第十四期 第十四期

第25回定期中央大会にて、曺壽隆君が第十四期会長に再選されました。数年来の課題であった「組織構造改革と人材育成」において、中央執行委員会の再編・会員要件の規約改定などを経て、より大衆的で民主的な組織活動を目指し力強く歩を進めていきました。

当面の課題として見据えたのは2005年に迫った「教科書検定及び採択に関する問題」でした。日本社会の保守勢力による歴史改竄の動きに翻弄されることなく、植民地支配の教訓から、平和と人権を守る重要性を社会へ伝えることは、その歴史的証人である在日同胞の役割であるとする立場から、啓蒙活動に力を傾注していきました。中でも、「教科書問題に関する記者会見」は日本外国特派員協会やソウルプレスセンターなど国内外で数回に亘って開かれ、注目を集めていきました。そうしたメディアを活用した戦略的行動は、韓国・日本はもとより中国、欧米などの国際世論喚起においても大きな役割を果たしました。

2005年の「教科書検定」結果を受けると、各地での「教科書採択」に先駆けて、全国地方本部の代表者による「教科書問題対策委員会」を組織し、偏向教科書不採択運動を全国的に展開して行きました。韓日市民団体との共闘関係のもとメディアへの情報提供、都立中高一貫校での偏向教科書不採択の署名活動などを果敢に行いました。また、全国の採択地区へ要望書を提出し、地方での教科書採択阻止に影響を与えました。韓日の市民団体をはじめとした関係各界において、今運動の中での本会の評価は高く、民団組織においても在日同胞運動の前衛として信頼と期待を厚くすることとなりました。また青年会史上初めて、本国より大統領賞を授かるという大きな栄誉を得ることとなりました。

また、2005年は光復60周年、韓日国交正常化40周年という節目の年であり、韓日両国はこの年を「韓日友情年2005」と位置づけ、新たな友好への一歩が踏み出されることが期待されました。また、「韓流」に象徴される韓国大衆文化のアジア圏での大ブームは、2002年韓日共催ワールドカップ以降、目覚しいものがあり、そうした時流を好機として捉えた本会は、「民族文化振興事業」を掲げ、「遊びからはじまるコリアンワールド」(冊子)や「ハングル月暦(달력)」(カレンダー)を作成し、在日同胞児童はもとより、日本の公教育の現場などへの普及活動に努めました。
「歴史観」に主眼をおいた「歴史を伝える運動」においても、地域でのPR活動を更に積極的に進め、東京都庁展望室で実施した「パネル展示会」で各層・各界から大きな反響を得ることができました。

 しかしながら、政治的には両国関係は独島を巡る「領土問題」、小泉首相による靖国神社参拝や中学歴史教科書の歪曲などの「歴史認識問題」によって、これまでにないほどの関係の悪化を見ることとなりました。また北韓へのバッシング報道は加熱を極め、総連系同胞をはじめ在日同胞社会への弊害も懸念されました。韓半島では南北対話が進む中、韓半島内での民族主義的な動きの影響は日本社会の右傾化にも一つの影響を与えました。 また在日同胞青年に対しては、自らのルーツへの関心とその歴史性を考える機会を与えることを狙いに「コリアンユーストラベル2004」が開催され、数年来実施されていなかった全国的な母国訪問事業を、主体的に取り組むことが出来た点が大きく評価されました。

「地方参政権獲得運動」については、国会での法案提出はなされたものの審議されず、立法化へ厳しい状況との見方が強まる中、本会は「参政権プロジェクトチーム」を編成し、再度情勢分析や研究活動を続けながら、有識者層や市民団体などと連帯関係を広めていきながら継続的に取り組んでいきました。