「ご飯食べてきますね。」 蕨の行きつけのブックカフェで仕事をしている途中、麻辣湯をほっしたわたしはそう言って、自転車に乗った。 つい最近まで、近所に中国料理屋さんがあったのだが、持ち帰り専門になってしまったので、近所にあ […]
どんよりとした雲がたちこめる梅雨らしい空の下、「降水確率20% 曇り」というスマホの天気予報に不安を覚えつつ、名前と死んだ理由しか知らないあの人の墓へペダルをこいでいた。 墓参りの作法なんて知らないが花は供えたいと思い、 […]
いまから20年以上前のことだ。 小学生だったわたしは年末の買い出しのために、父に手を引かれ、ひとでごった返す年末の上野を歩いていた。公園の階段で似顔絵を描いてくれる絵描きのおじさんの隣にどこから来たのか分からない外国の […]
7年前の正月、例年通り、伯父の家へ挨拶しに行ったときのことだった。日本語で「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。」とクンチョルもどきのお辞儀をすると伯父が「ところで、お前はいくつになった?」 […]
「韓国語が出来なければいけない。」 「民族学校に通っていなければいけない。」 「民族名を名乗らなければいけない。」 留学したのに韓国語も苦手で、民族学校にも通えず、日本名を名乗る私はしばしばこんなことばに出くわす。社 […]