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政界から芸能界、文学界まで巻き込む 韓国で過熱する“Me Too運動”とは

政界から芸能界、文学界まで巻き込む 韓国で過熱する“Me Too運動”とは 政界から芸能界、文学界まで巻き込む 韓国で過熱する“Me Too運動”とは

 現在、韓国では、セクハラや性暴力を告発する“Me Too運動”が激しさを増している。

3月上旬には、セクハラ疑惑を受けていた、俳優のチョ・ミンギが自殺に追い込まれるという事態に発展。

チョ・ミンギ

今、韓国を揺るがす“Me Too運動”の全貌に迫った。

 ことの発端は、1月末、ある女性検事がSNS上に元上司にセクハラを受けていたことを告白。それに火が付き、芸能界や文学界、政界へと瞬く間にセクハラや性暴力を告発する“Me Too運動”が広がったのだ。

2月には、演劇界の大物演出家のイ・ユンテク氏が劇団員の女性たちから告発を受けた。さらに、元大学教授で俳優のチョ・ミンギも学生たちからセクハラを受けたと告発され、警察が強制わいせつ容疑で警察が立件するまでに(その後、自殺)。

ほかにも、俳優のチェ・イルファ、チョ・ジェヒョン、オ・ダルスの名前があがり、世界が認める大物監督のキム・ギドクもその一員となった。

キム・ギドク監督

 

 さらに、文学界では、ノーベル文学賞候補として取り上げられるコ・ウン氏が女性詩人から告発を受け、政界からは、次期大統領として呼び名が高いアン・ヒジョン知事が、女性秘書から告発をうけ、知事を辞職、所属する共に民主党は除名処分を下した。

 

アン・ヒジョン元知事

 

 急速に広まる韓国の“Me Too運動”。

一方、日本では、伊藤詩織氏が元TBSの記者であった山口敬之氏から性暴力を受けたとし、告発したことが記憶に新しい。

しかし、日本では、韓国のように、“Me Too運動”が広まらない。その差はいったいどこからくるのだろうか。

 大きい面では、韓国と日本では気質が違う。

韓国では一体となって、大規模なデモを行うことが一般的だ。直近では、朴元大統領の辞任を求めた抗議デモが記憶に残っている人も多いだろう。

一方、日本では、デモが行われるが、数年に一回ほど大規模なデモに発展するが、ほとんどが小規模だ。

その背景として、日本は協調を大事にするお国柄。和を乱すことを嫌う傾向がある。反対に、韓国は個人の意見をはっきりと通す傾向が強い。

韓国の報道番組を見ても、事件や事故の被害者の遺族たちが、泣き叫びながら意義を主張する風景をよく目にするが、日本ではほとんどの遺族たちがマスコミの前に現れることはない。

 そして、韓国の抑圧された女性社会も“Me Too運動”運動が広がる要因だろう。

OECDが発表した報告書によると、OECD加盟国の中で、男女別賃金格差が、韓国が36.7%とワースト1位(日本もワースト2位)に。

管理職女性比率の国際比較(労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2014年」より)によると、こちらも韓国が日本についで最下位となっている(調査対象国22か国中)。

データからも見てとれるように、韓国では、女性が社会で働くにはまだまだ厳しいのが現状だ。

 

一方、政界では女性議員の増加を図ったクォータ制を導入し、女性議員を増やしたり、朴元大統領が女性初の大統領となったり、

今、まさに、女性の社会進出が叫ばれる下地が整ったところが、今回の“Me Too運動”のタイミングに重なったのではないだろうか。

最後にもうひとつ、個人的に大いに思うのは、日本より韓国の女性のほうが圧倒的に強い。韓国人女性は主義主張をしっかりとする。

「韓国人女性は強いから、大人しい日本人女性が」いいと、韓国の男性たちの声をよく耳にしたものだ。

日本にもセクハラは蔓延しているはずだ。

しかし、“Me Too運動”がおこらない要因は、和を大事にするあまり、女性の権利が侵されていることを強く主張することが許されない風潮が根底にあり、

また、その風潮に慣れ過ぎてしまい、セクハラを受けていることに気が付かないことも多いと思われる。 

実際、私自身が身を置いていたマスコミ業界も、男性が大半を占める業界ゆえ、セクハラは蔓延したと、当時は気が付かなかったが、今、振り返ると再認識させられる出来事が多々ある。

韓国では、今回の一連の騒動を受け、政府は性暴力に関する申告窓口を設け、教育部では、すべての大学を対象に、性暴力に関する申告窓口の運営実態を調査することに。

今後、益々、“Me Too運動”が広まることが予想される。

(松庭 直)