ヘイトスピーチに罰金を科す、全国初の条例が可決

2019年12月17日

 チョンソンです。6月に素案をご紹介した「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が、1212日に可決されました。(前回記事はこちら) 2016年に、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」という法律が国会で可決されていますが、今回のものはさらにその先を行く内容になっています。どんなものなのか、簡単に解説したいと思います。

 1212日、川崎市議会で全会派の賛成により、法案が可決されました。野党だけではなく自民党も公明党も、皆が賛成したんです。

 これまでにもヘイトスピーチ解消法だけではなく、大阪市の「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」など、差別に反対する条例は他の地方自治体にもありました。しかし川崎市のものは具体的な規制や罰則のない理念法と違い、刑事罰がついているのです。

 条例では「何人も人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他を理由に不当な差別的取り扱いをしてはならない(第5条)と、色々な属性を持つ人たちを「差別的な取扱い」をしてはならないとしています。

 その上で本邦外出身者(在日コリアンのような外国籍者)に対し、公共の場所で拡声器を使い「居住地域から退去させることを扇動したり、生命や身体、自由や名誉、財産に危害を加えることを煽動したり、人以外のものにたとえて著しく侮辱したりするなどの、不当な差別的言動を行ってはならない」(第12条)と、公園や道路などでのヘイトスピーチを禁止しています。

 市長は不当な差別的言動を行った者に、6カ月間違反行為をしないよう勧告します。勧告に従わない場合はさらに6カ月間、違反行為をしないよう命令した上で、それでも違反した場合は氏名を公表したり、50万円以下の罰金に処することになっています。勧告や命令、公表にあたっては審査会の意見を聞く必要があり、ヘイトスピーチをその場で取り締まるものではありません。しかし「ヘイトスピーチをすると罰を受けるんだ」ということが分かれば、ヘイトデモやヘイト街宣が控えられていくのではないかと、チョンソンも思います。またこれまで、地方自治体が行政処分としておこなえる過料は5万円でした。その10倍もの罰金があることも、抑止効果にもつながるはずです。

 チョンソンが何より「おおっ」と思ったのは、インターネット上での差別的言動についても、「必要な措置を講ずるものとする」とあったこと。何をどのように措置するのかまでは条例案にはありませんが、ネットで嫌がらせを受けている在日コリアンをはじめとする外国籍の市民を、市が守る姿勢を表明したのはとても大きなことではないでしょうか。もちろんこの条例ですべてが解決するわけではないと思いますが、差別のない社会に向けての、大きな一歩となると思います。施行は202071日からですが、チョンソンも川崎に住みたくなってきたよ……。

 これまではデモや街宣などでヘイトスピーチがおこなわれていたとしても、「何がヘイトスピーチに当たるのか、定義がない」などの理由で、事実上野放しになっていました。しかし条例を運用するために「ヘイトスピーチとは何か」について議論されていくだろうし、定義もはっきりしていくと思います。

 

1126日、川崎市内で開催された条例の勉強会で解説をする師岡康子弁護士

同じく勉強会でリレートークをおこなった、有田芳生参議院議員。

 

 これもひとえに川崎市に住む在日コリアンの同胞やハルモニやハラボジ達、そして差別を許さない日本人の仲間たちが、声をあげたことが大きいと思います。その勇気と行動力を何よりリスペクトしたいし、大きな声で「おめでとう」を言いたいと思います。でも「川崎市ってすごいね」で終わりにすることなく、自分たちが暮らす地域から差別をなくすためにはどうしたらよいか。川崎市から撒かれた種が他の街でも実を付けられるように、11人が考え行動していくことが大事なのではないでしょうか。チョンソンも微力ながら、周囲の仲間と反差別に向けて頑張っていきたいと思います。ではまたアンニョン。

 

(チョンソン)

   

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