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第十三期

第十三期 第十三期

第十三期曺壽隆執行部は、在日同胞社会の山積した課題に対し、『青年』という視点でどのように対峙していくのか、またそのための組織的な基礎体力を養うことを大きなテーマとして出発しました。その中で掲げた、「組織構造改革と人材育成」は、組織運営・構造を再検証し、適正な活動・人づくりを行なえるように導くための努力を、自らの手で行うことが本旨でありました。在日同胞青年が、在日韓国人という存在として、生きる社会とどのように対峙していくのか、自らの存在意義を見出し、多くの仲間を募ることにより、理想の実現への道を切り開く力を養うことを目指したのです。

「人材育成」の点では、「Korean Youth Academy」のカリキュラムが再編され、総合的な人材育成システムとして大きく生まれ変わりました。「組織構造改革」については、二方面から着手しました。一方では「組革チーム」を「政策」「組織」「財政」「事業」の4部会で編成し、各々組織的課題に当たりました。また一方では、「規約委員会」において会運営の根幹を成す「会員要件」と「組織機構」の見直しがされました。本会が在日同胞青年にとってどのような場所になっていくべきか、明確な指標を打ち出そうとする姿勢は体内に留まらず、民団組織においても大きな問いを投げかけることとなりました。

また、それまでの在日問題への取り組みとは一線を画する「市民」という視点から、“平和・人権・環境”という人類普遍のテーマを揚げました。在日同胞青年運動を牽引する新しい使命性の創出は、人種・民族・国籍の枠にとらわれない多様な活動を生む原動力となっていったのです。外国人の社会参画、地域貢献を目指した「社会参画運動」、そうした視点の拡大を期して開催された「市民公開講座」は“在日から見える社会”と題して行われ、広く社会に対して私たちの存在価値を指し示す活動の一環として定着していったのです。

在日外国人人口が全人口の1%を優に超える中で、社会参画への命運を握る「地方参政権獲得運動」は、多民族・多文化共生社会の実現を目指す在日同胞社会全体の最大の目標でありました。本会では、地方自治体における「住民投票権の付与」という地域社会からの声を好機として捉え、外国籍住民の社会参画を求める市民団体との連帯のもと、緊急集会を開催するなど多方面へ活動を展開していきました。

また、在日同胞社会にとって社会参画と一対を成す大きな課題である、世代交代に伴なう在日の歴史の風化を危惧し、「歴史を伝える運動」を中間報告会の開催を中心に、地域社会へ認知させていくことを目指しました。こうした活動の発信は地域に根ざし生きる私たち在日の存在を「見える存在」へと転換していく活動として着実に進めていくことになります。

そして、2002年韓日共催W杯という世界的祭典は、あらゆる分野で韓日交流をもたらし、歴史性を通してでしか論じてこられなかった韓日関係において新たな歴史の始まりを印象付けました。本会はこうした韓日友好の好機に「2002年韓日架け橋事業」を草の根的に展開し多くのメディアにも取り上げられながら、それまで持ち得なかった方面にも在日韓国人の存在を強く印象付けました。